日常的苦悩の医療化とホモ・サピエンス
病的絶望のみならず、日常的悲哀や実存的苦悩すらも薬で治そうとする「日常的苦悩の医療化」が精神科医に蔓延する中で、薬は飲まぬと覚悟し、生活習慣を正し自動思考の健全化を図る個人は勇敢である。
また、「日常的苦悩の医療化」を危惧・理解し薬を最低限しか処方しない精神科医こそ真の医療従事者である。
特に依存症専門医はメンタル疾患、依存症は薬は一時しのぎにすぎないことをよく知っており、治療では自助会を通じた人と人との繋がりを最重要視する。
社交不安障害、強迫神経症、アルコール依存症、ギャンブル依存症、摂食障害患者には共通した特徴があり、それは自己肯定感が低いことである。
よって自分自身をさらけだすことに困難を感じ、他人との間に真の信頼関係を構築することが苦手である。
彼らには生育環境もしくは日常生活において何らかの心理的苦痛が存在し、誰も信じられず頼ることもできない世界の中で、身近にあって手っ取り早く安堵感を得ることのできる酒やギャンブル、食に走る。
そうした行動が強化学習された結果が依存症である。
よって彼らは自助会を通じて、人と人のふれあいの温かさを学び、自分もよくやってきたよなと気づくことで自己肯定感を高めていくことが必要なのだ。
また、自分をさらけ出しても受け入れてもらえて、仲間から愛されているという安堵感が必要なのだ。そうすれば酒に走る必要もなくなる。
原始、私たちホモ・サピエンスは天敵から身を守るため、仲間とつながり・分かち合い皆が暮らせる社会を作ってきた。
つまりホモ・サピエンスの遺伝子の中にある原初的な本能は仲間を作ることであり、仲間を作ることによって人間はもっとも大きな喜びが得られることを私たちは本能的に知っているのである。
メンタル疾患で悩んでいる方は是非とも自助会や人と人が触れ合う集まりに参加し、自分が無条件に愛される経験を通じて自己肯定感を高めていってもらいたい。
そうすれば病はきっとよくなるはずだ。